5年ぶりの復活!アジア最大級のジンの祭典GIN FESTIVAL TOKYO2024 開催レポート

この記事の著者

浅見 響子

美味しいクラフトジンの魅力を世界に広めたい!という思いでGinYaに参加。
好きな食べ物は焼肉とラーメンと油ぞば、趣味は推し活!2015年から複数のオウンドメディアを運営中。日本で一番のジンメディアを作るぞ〜!

2024年10月19日(土)~20日(日)の2日間、寺田倉庫 B&C HALL/E HALLにて、<GIN FESTIVAL TOKYO 2024(ジンフェスティバル東京 2024)>が開催されました。

ジンというお酒を通じて世界を知り、味わい、繋がって、日本のジンカルチャーの更なる発展を目指し、その魅力を広く提供するための祭典GIN FESTIVAL TOKYOは2018年、2019年に開催され、今回、コロナ禍のオンラインイベントを除いてリアルイベントとしては実に5年ぶりの復活を果たしました。

ジンフェスティバル東京 2024 イベントレポート

3回目となる今回は、国内外から80社が参加し過去最高となる100ブランド/200銘柄のジンが集結。
クラフトジンを楽しむため、全国から1万人を超えるジンラバーが集まりました。

入場は無料で、チケットの購入で試飲やジントニックと交換することができます。

ブースやジンタワーで試飲して気に入ったジンを購入したいという要望に応えボトル販売も実施。

他にも入場チケットがあれば無料で参加できる出典各社の豪華なセミナーや、名だたるバーテンダーが作る歴史あるクラシックカクテルを楽しむことのできるスペシャルバーも登場しました。

場所は天王洲アイルの寺田倉庫。アートや音楽に関する様々なイベントが開催される倉庫をリノベーションした大型のホールを二つ使い、両ホールとも行き来自由で開放的にジンを楽しめるイベントになりました。

天王洲運河を臨む海沿いのロケーションの中DJの奏でる音楽が会場を彩り、幸い気候にも恵まれ暑すぎず寒すぎない気温で心地よくジンを楽しむ来場者で賑わいました。

お好みのジンとトニックでプロが作る”ジンタワー”エリア

前回開催でも話題となったジンタワーから好みのジンを選び、好みのトニックでジントニックを作ってもらえるスペースは二日間とも常に多くの来場者が集まり、ボトルのデザインや香りを実際に感じながら好みのジンを選んでいました。

裏話や歴史まで知ることが出来る”セミナー”エリア

セミナースペースでは二日間で28の企業が講演し、各回30名ずつの入れ替え制で各企業の商品へのこだわりや歴史を知ることができました。

令和6年1月1日に発生した能登半島地震の復興への祈りから生まれたのとGIN願い星。

蒸留者松田さんの目線から当時の険しくも希望に溢れた道のりや、ブルーベリーの枝など地元のボタニカルとの出会いを学ぶことができました。

北海道の窓業者から、異例の新規事業として立ち上がったBITTER POPS COMPANY。

経営者の中澤さんから、ジントニックには欠かせない国産のトニックウォーター「KUMI」の成り立ちをトニックウォーターの歴史や特徴を交えて詳しく学ぶことができました。

出典ジン紹介

DANCING SANDS

ニュージーランドのダンシングサンズ蒸留所から、ダンシングサンズドライジンとダンシングサンズソーヴィニヨンドライジンを群馬のジン専門Bar-Bar.Z-のKohさんが紹介。

ソーヴィニヨンは白ワインを減圧蒸留したもので、ドライな飲みやすさはそのままに、その名の通りワインの香りが特徴的でした。

火の帆

農場型の蒸留所を持ち、自前のハーブガーデンからボタニカルを育てる北海道の積丹スピリットからは、火の帆各種がラインナップ。

シグネチャーのKIBOUの他にも、ボタニカルで青く着色したKIBOU BLUEや深紅の美しさが特徴のHAMANASUなどカラフルな火の帆が揃っており、100mlからお試しできるミニボトルも来場者から大好評の様子でした。

のとジン

能登の代表的なボタニカルを蒸留したシグネチャーののとジンに加え、セミナーでも説明のあった能登半島地震の復興への祈りを込めて新しく生まれたのとジン願い星を楽しむことができました。

日本のTLピアス蒸留所で作られるのとジン願い星は優しいブルーベリーや柑橘の豊かな香りを楽しむことができ、能登の方々の想いが詰まったジンに仕上がっています。

八郷蒸留所

筑波山の麓、石岡市八郷地区にある木内酒造 八郷蒸留所からは日の丸ジン 蔵風土と桜の葉を使ったリキュール「葉桜」を提供。

その名の通り桜の香りをはっきりと感じる特徴的なリキュールで、和の味わいでした。

木内酒造の主力ウィスキーやビールとのことですが、ジンやリキュールの可能性も強く感じることができました。

9148Craft Gin

北海道の紅櫻蒸留所からは、小ロット生産で季節によってボタニカルやレシピが異なりバリエーションを楽しめる9148クラフトジンをラインナップ。

ホップを使ったもの、ふきのとうを使ったものなどジンでよく見るボタニカルとはまた異なった素材を用いた様々な種類を楽しめることもあり、ブースは連日賑わっていました。

スティルダム・サガ

佐賀県の楠乃花蒸留所からは、地元のボタニカルを使用した人気のスティルダムサガから、スタンダードとレモンをキーボタニカルとしたリスボン、またグレープフルーツや南高梅を使ったものも。

新商品としてマティーニ専用ジンを試飲できましたが、紫蘇の香りが刺激的で意外な味わいでした。

マティーニとしてバーで楽しめるのが楽しみです。

OSUZU GIN

宮崎の尾鈴山蒸留所からはOSUZU GINが出展。

伝統的な手仕事による焼酎をベースに、地元の豊かなボタニカルで、シグネチャーの他にも金柑やカカオなど新たな種類を楽しめました。

試飲したカカオとマスカットのジンは、その名の通り爽やかなマスカットの香りと残り香として豊なカカオを楽しむことのできる新感覚な味わい。トニックにもよく合う香り高いジンが印象に残っています。

YOHAKHU

長野県の芙蓉酒造発の「YOHAKHU」は酒粕焼酎や穀類スピリッツをベースに、クロモジやリンゴをボタニカルとして使用した甘くスパイシーな味わいが特徴。

6代目蔵元の依田さんと、GIN FESTIVAL TOKYO主催の三浦さんもアドバイザーとして参加し、130年の歴史をもつ芙蓉酒造の技術で作り上げた至高のジンです。

デザイン性の高いボトルやブースも一際目を引いていました。

AMRTA

山梨県の小さな蒸留所GEEKSTILLのAMRTAもさまざまな種類を用意し、ジュニパーベリーとブドウの花を米由来のベースに漬け込んだシグネチャーのジンをはじめ、ふきのとうやミント、山椒やコーヒー豆など山梨県ならではのボタニカルを使ったジンを生産しています。

小ロット生産で生産が終わると手に入らないものもあり、ジンフェスティバルで試飲できた人はラッキーかも。

LAZY MASTER

”怠け者の仙人”が描かれたラベルがインパクト抜群の、沼津蒸留所のクラフトジンLAZY MASTER。

静岡県東部と伊豆半島で取れるボタニカルをメインに、世界遺産でもある富士山の湧き水を使用。

シグネチャーのシルキーシトラスはその名の通り柑橘の香りが爽やか。

沼津市西浦はみかんの産地としても有名で、LAZY MASTERという名も囲碁を打っていたみかんの仙人とそれを見つけたみかんの山の持ち主の昔話にちなんでいる。

TL Pearce

千葉県野田市に蒸留所を持つTL Pearceは、2人の陽気なアメリカ人マイケルとボブが作るジャパニーズジン。

「Be Classic!」を合言葉に、日本のローカルボタニカルを使ったジャパニーズジンとは別のアプローチで海外の伝統や技術を尊重した「トーキョー・ドライ・ジン」を作り出します。

ジン本来のクラシックでドライな風味を味わうことができ、もちろんトニックで割っても極上のジンです。

TATEYAMA GIN

千葉の館山にあるTATEYAMA GINは、「クラフトジンをもっと自由に、楽しくカスタマイズブレンドできるスピリッツ」として自分だけのジンを作ることのできるお酒の製造工程体験など先進的な取り組みも行っているのが特徴。

金木犀や紫蘇・山椒・ストロベリーやレモングラスなど豊富な種類を取り揃えていました。

オリジナルジンを作ってみたい人は、ワークショップやイベント情報をチェックしてみて。

SCAPEGRACE

一際目を引く真っ黒のボトルが並んでいたSCAPEGRACEは、ニュージーランド、サザンアルプスの大自然で作られており、ロンドンとサンフランシスコの品評会で金賞を受賞したこともあるジン。

インパクトがあるのはボトルだけではなく、その中身も。

ジンフェスに並んだスケープグレース・ブラックは世界初の天然ブラックジンとして、アロニアベリー・サフラン・バタフライピー・サフランなどの素材から紫色の美しい見た目をしています。

トニックで割るとピンク色になり、味も見た目も美味しいジンです。

stork valley distillery

栃木県小山市の自然豊かなストークヴァリー蒸溜所からは、厳選された10種類のボタニカルを使用し、独自の製法で仕上げた最高級のSTORK VALLEY JAPAN PREMIUM GINを試飲することができました。

クラフトビール造りで培った技術を応用している蒸留所は、なんとウィスキーも製造中。

2027年1月の発売を予定しているので、ウィスキー好きの方も楽しみに待ちましょう!

yumarrest

個性的なボトルイラストに惹かれて立ち寄ったのは京都にあるスピリッツ専門の蒸留所Motoki蒸研のyumarrest。

機械のような緻密で正確なジンを作るという意思からIndustrial GINと定義されたジンは、メインボタニカルに京都のヒノキや桜の葉、瀬戸内レモンなど地元の和なボタニカルを使っており、さっぱりとした飲み口に少しの甘さも感じる優しい味わいでした。

SAKURAO GIN

今やジンラバーもそうでない人も誰もが知っている、日本が誇る広島のジン、桜尾。

ジンフェスティバルでは、ここでしか飲めないORIGINALに金木犀をそのまま漬け込んだ数量限定の金木犀ジンを味わうことができました。

初日にSNSで話題になり、二日目はお昼前に完売してしまうほどの人気っぷり。

運良く1日目に試飲できましたが、豊かな金木犀の香りと甘さがオリジナルにマッチしており桜尾の幅広い可能性を感じられる一杯でした。

東京八王子蒸溜所

東京八王子蒸溜所からは八王子の名前をそのまま冠したトーキョーハチオウジがラインナップ。

最もスタンダードなクラシックはレモンやカモミールやエルダーフラワーを使用したフローラルな香りが特徴。

よりエルダーフラワーを強調した甘みのあるELDER FLOWEはジンに慣れていない初心者の方にもおすすめでした。

オーナーである中澤さんの弟が作るトニックウォーター「KUMI」は今回セミナーとして出展。

合うように作られたハチオウジンとKUMIの組み合わせはぜひ一緒に楽しんで欲しいです。

Blue Rabbit distillery

田園調布にある都市型蒸留所のブルーラビット。

スコットランド人のマークが作るジャパニーズジンブルーラビットは、インパクトのあるラベルデザインで多くの来場者が足を止めていました。

「ある日夢に出てきた青いマティーニを持ったウサギ」からインスピレーションを受けたブランドコンセプトも独特。

これまではウサギが前面に描かれていましたが、ジンフェスで楽しめる新作のヒノキジンは花を全面に描いたボトル。

焼酎ベースに熟成したヒノキやピリッとしたコリアンダーが効いた、エレガントで深みのある個性的な味わいでした。

深川蒸留所

東京の深川にある深川蒸留所もFUEKIを初め、多くの種類が揃っており試飲の際も迷いました。

FUEKIは昔ながらの蒸留方法であるツブロ式蒸留器を元にしたニューツブロ式蒸留器を使用し、厳選したボタニカルを使用。

カモミール、ラベンダー、イチゴなど、メインになるボタニカルによって様々な香りや味わいを楽しむことができました。

県ジンプロジェクト

出店しているブースの中でも珍しさで目立っていた県ジンプロジェクトは、全国47都道府県、それぞれの特産品を使用したクラフトジンを企画・開発し、国内外に発信していく取り組みを指します。

試飲したのは第8弾の埼玉県ジン。なんと草加せんべいをキーボタニカルとして使用。

不揃いのせんべいを細かく砕いて加える手法で、お米のふくよかな味わいを感じました。

干し椎茸を使用した大分県ジンや、ピーナッツを使用した千葉県ジンも大人気。

他とは一風異なる素材の味を楽しむことができます。

新蒸留研究所

前田薬品工業株式会社が手がける新蒸留研究所もまた、製薬思想の独特のアプローチで研究されたジンを展開。

第一弾は、ジンをジンたらしめる香りに着目した「No.1 ジンの香りの原点に関する研究」(なんとこれが商品名!)気になって試飲したのは「No.3 緑茶の香気抽出に関する研究」。

こちらはジンではなくスピリッツですが、その名の通り茶葉の香り高さや美味しさをそのまま抽出したかのような、お茶好きにはたまらない素晴らしい一品でした。

海峡蒸留所

兵庫県明石の海峡蒸留所からは、東経135度ドライジンが出展。ロンドンドライジンの基本である3つの西洋ボタニカルと明石周辺の5つのジャパニーズボタニカルを加えた、和洋折衷の味わいが楽しめるオーソドックスでキリっとしたロンドンドライジンでした。

日本標準時となる東経135度の子午線が通る兵庫県明石市にちなんだ命名や、ヨーロッパと日本が交わるボトルデザインも粋。

新作ジンの予定もあるそうで、続報を楽しみに待ちましょう!

コッツウォルズ

古き良きイギリスの面影の残るコッツウォルズで作られるコッツウォルズのプレミアムジン。

最高に芳醇な香りを醸成するため、蒸留ごとになんと通常のロンドンドライジンの10倍の量のボタニカルを利用している、その名の通り超プレミアムなジン。

池袋のクラフトジンBar Copainのジェーニャさんがアンバサダーとしてブースに立ち、香りの異なる数種類のコッツウォルズを試飲することができました。

まとめ

5年ぶりに復活し、二日間に渡って行われたGIN FESTIVAL TOKYO 2024。

アジア最大級のジンの祭典の復活は、ジンラバーとしてもとても嬉しいことでした。

両日とも賑わいを見せ、日本でのクラフトジンの盛り上がりを肌で感じることができました。

コロナ禍も明け、飲酒文化が戻り、また個々のお酒の楽しみ方もより深くマニアックになっていると感じる昨今。

より気軽に、だけどディープにジンに触れられるこうしたイベントがまた開催されることを願います。