MAWSIM GIN(マウシムジン)はカンボジアで作られるエコなジン

この記事の著者

徳留 康矩

徳留 康矩

雪の日に旅先の蕎麦屋で飲んだクラフトジンに魅せられたウェブライター。
温泉好きも手伝って旅先で飲むその土地のお酒が大好き。
旅で見つけた美味しい食材を自宅でお酒のつまみにするのが得意技。

2025年1月12日(日) クラフトジン専門Bar Copain(コパン)で、話題のMAWSIM GIN(マウシムジン)のイベントが開催されました。イベントは二部制になっており、第一部はバーテンダー、飲食店、酒屋さん向け、第二部ではジンが好きなジンラバー向けに開催されました。この記事では第一部の様子をお伝えします。

1.MAWSIM GINは価値の逆転や再発見から生まれた

イベントのはじめはMAWSIM GINを作っている株式会社サンウエスパ Founder CEOである原有匡さんからMAWSIM GINとはどのようなジンなのかのご説明をいただきました。
原さん:
「我々は“AGE of ReDiscovery” つまり、価値の逆転や再発見を通じて新鮮な驚きを皆さんにお届けしたいと思ってブランドを運営しています。元々ジンは寒い国の飲み物でオランダで生まれて、その後イギリスで流行したと言われています。その後3世紀かけて世界中に広がり今では4大スピリッツに数えられています。しかしながらクラフトジンブームがやってきても舞台は寒冷な地域が多い印象です。
そこでMAWSIMのジンは”暑い国で作ったジンは果たして美味しいのか?”という逆転の発想からきています。

原有匡さん(写真一番右)

世界に存在している主要なスパイスの95%は熱帯アジアに存在していると言われています。
スパイスやハーブは熱帯アジアに依存しているということはカンボジアでは安くて新鮮なボタニカルが通年手に入るわけです。ボタニカルを乾燥させることなく新鮮にふんだんに使うことができます。

MAWSIM GINは2つのラインナップ

MAWSIM GIN(左:トロピカルシトラス 右:スパイス&ハーブス)

引き続き、原さんからMAWSIM GINのプロダクトについての説明をしていただきました。
原さん:「MAWSIM GINには2種類のラインナップがあります。

トロピカルシトラス

ボタニカルには生のものを使用しているのが特徴です。
パッションフルーツ、マンゴー、パイナップル、バッタンバンオレンジ(オレンジの原種のようなミカン)、ライム、金柑、コブミカンなどが入っています。

スパイス&ハーブス

胡椒を生のまま使用しているのが特徴です。
完熟した胡椒、ワイルドカルダモン、トニックシロップの原料になっているキナの木、レモングラス、ジンジャー、コリアンダー、カシューナッツなど。
胡椒の実は足が早く(痛むまでが早いという意)、原産国でないとフレッシュな胡椒は手に入りません。かつ完熟した赤い胡椒は少ししかとれないのです。
我々は100%オーガニックにこだわっていることもあり、胡椒は契約農家から、その他のものは蒸留家が市場に足を運んで仕入れています。

ボタニカルの前処理も手作業で行っています。生鮮食品なのでコンディションを見ながら手作業でカンボジアのプノンペンで行っています。」

2.フレッシュなジンだからこそタイミングにこだわりたい

カンボジアで責任者をしている津﨑建治さん

続いてカンボジアで責任者をされている津﨑さんよりジンを作っている時のお話をしていただきました。

「時期としては新型コロナの真っ最中の時期にカンボジアに渡ることになりました。そこからカンボジアのボタニカルを毎日毎日400−500種類ほど試しました。試した結果、出来上がったのがトロピカルシトラスジンとハーブ&スパイスジンです。

MAWSIM GINの特徴としては”Fresh”ということで、つまり毎回コンディションが違うということになります。そこの見極めが必要になってきますから、マイクロディスティラー(小規模な蒸留所)じゃないとできないと思っています。大量生産などでは難しいやり方です。蒸留は朝から始まって7〜8時間行います。30分おきに原酒を飲んで暮らすような生活です。飲みながら作業を行うわけですから蒸留の最後の方はフラフラになります。どこで(蒸留を)切るかがジン作りのポイントです。

トロピカルシトラスのほうは蒸留をはじめた瞬間に(風味の)ピークを迎えます。
30分-60分で味が出てきて次にグダグダになり、最後はジャム状になって風味が落ちます。
ただし蒸留の最初のほうだとトロピカル感は出てくるがジュニパーベリーの風味が出てこないのです。そこのタイミングを特に気をつけています。

スパイス&ハーブのほうは最初はレモングラス(の風味)が出てきます。次にワイルドカルダモンやキニーネです。ウッディな味がします。第三のピークでカシューナッツやジュニパーベリーなどが出てきます。なだらかに終わってそして最後に落ちていきます。そこのタイミングを毎回飲みながら見極めています。本日は80度の蒸留液も持ってきましたのでご興味あれば是非飲んでみてください。」

80度の原酒

3.MAWSIM Ginはサスティナブルなジン

続いて原さんよりサスティナビリティーの観点からMAWSIM Ginについての解説をしていただきました。

「我々はGinの他に、トニックシロップとFIZZシロップも作っています。原料のボタニカルの未利用部分や余剰分で作っています。蒸留器のヘッドやテイルも消毒液として再利用したり、使い終わったボタニカルもBarのフードとして蘇らせたり、究極はカルダモンの皮の部分をスモーキーネグローニとか燻すために使ったりしています。

ボトルデザインは緑から青に徐々に階調していく色替えボトルを使用しています。
ボトルとしても再利用不可能、再資源化不可能なのですが、花瓶などで再利用してほしい思いもあって一本一本色が違うのです。
かつて鎖国時代、オランダ船が入って来た時にオランダのジンボトルを海中に投棄していたそうです。それを日本の茶人が拾って花入れとして日本にたくさん伝播したようです。そういったところにインスピレーションを受けています。

この2022年の7月にローンチしたMAWSIM Ginですが2023年2月ワールドジンアワードでアジア圏で初めてワールドベストを受賞しました。IWSC でも95ポイントを獲得しました。
少し意外なところですとグッドライフアワードで環境大臣賞をもらったこともあります。

ホテイアオイの浮草がカンボジアには沢山あって、7ヶ月で200万倍に増えていくと言われています。ホテイアオイは世界中の熱帯や亜熱帯に存在しています。元々はこの浮草からバイオエタノールを作るという事業を行うためにカンボジアに行きました。これらをボートのエネルギーなどにするためにカンボジアに渡ったのです。結論として収益が合わなかったのですが、それを続けるためには収益事業が必要ということでエタノールをジンのベーススピリッツに使ってはどうかとなりました。飲料のアルコールはそもそもはすべては”バイオエタノール”。世界中のアルコールは米やブドウなどバイオマスからできています。すべてのお酒はバイオエタノールとも言えるかなと思うのです。
飲んでも燃やしてもカーボンニュートラルなら、飲んで楽しいほうがエコなのではないかと。ちょっと愉快なことに取り組みたくなったというところです。」

川を埋め尽くすホテイアオイ  (画像引用元 MAWSIM GIN ウェブサイトよりhttps://mawsim.net/jp/)

4.MAWSIM GINの特徴を活かしたカクテルやシロップを使った試飲の時間

カクテルを作る額田さん(写真右)

ここからはお待ちかねの試飲の時間。トロピカルシトラスとスパイス&ハーブのジンをまずストレートで、そして、それらを使ったカクテル、前述の80%の原酒などを参加者の皆様と美味しくいただきます。私もそれぞれいただきました。ストレートを飲んだ感想としてはトロピカルのほうは果物の爽やかな酸味が最初にきて次に旨味がくる印象。スパイス&ハーブのほうは甘い心地よい苦みのあとに旨味がくる印象をうけました。これらをカクテルにすることによりどちらもフレッシュさがより際立ってきていると感じました。

試飲しながら積極的な意見交換がなされていました

試飲の最中にもバーテンダーや酒屋関係者の皆様から積極的な質問が飛び交います。

やはり飲み物を提供するうえでのポイントや変化の味の変化に関する質問が多いように感じました。ちなみにこちらのジンはアルコール度数43%で調整しているとのこと。

「もったいない」から生まれたシロップ

(左)トニックシロップ (右)FIZZシロップ

ジンにあわせて紹介されたシロップがありました。こちらのシロップの説明は参加者の皆さんのカクテルを作っていただいた額田(ぬかた)さんより説明がありました。
トロピカルシトラスを蒸留する際にオレンジとライムの皮のみを使用しており、フルーツの中身が使いきれず、もったいない現象があったので、オレンジジュースとライムジュースを手絞りして中身をグツグツ煮込んで砂糖を入れてシロップにしました。ライムの酸味とオレンジの甘み。これはFIZZシロップという名前です。ジンFIZZを作る時にライムとシロップの代用でもいいと思います。私は個人的にこれを使ってギムレットを作るのが好きです。」

新作はカカオのスピリッツ

ここで新作の発表もありました。

待望の第三弾はスピリッツを製作したとのこと。
カカオスピリッツの発表がなされました。
もちろんカカオスピリッツを使ったカクテルも飲ませていただきました。
私の感想としては「飲むチョコレート」リッチなカカオの香りがする上品なお味でした。

原材料のカカオ。香りが素晴らしかった。ちなみに食べた時の私の第一声は「めっちゃカカオ!(語彙力)」です。

5.イベントは大盛りあがり最後にはお土産も-

参加者のみなさんでパチリ

試飲もすすむと会話もはずみます。最初は皆さん表情が硬かったのですが徐々に表情が柔らかくなっていき良い表情になっていきます。お酒はコミュニケーションの潤滑剤というのを改めて思った瞬間でもあります。

イベントのさいごにはMAWSIM GINのミニボトルのプレゼントもありました。家で楽しむことができるということで我が家のストックGinになりました。

美味しくいただきます

カンボジアで作られるMAWSIM GINはフレッシュそのもの。

カンボジアの香りをお試しあれ!

MAWSIM GINのみなさま貴重な機会ありがとうございました。

写真左から 額田さん(MAWSIM GIN)、ジェーニャさん(BAR Copain)、原さん(MAWSIM GIN)、津﨑さん(MAWSIM GIN)

MAWSIM GIN関連リンク

MAWSIM GINは下記MAWSIMのオンラインショップでご購入いただけます。
https://mawsim.shop/collections/all

Instagram https://www.instagram.com/mawsimjp/
WEBサイト https://mawsim.net/jp/