ロンドンドライジンの定義とは？他にどんなジンがある？

数多くあるジンの種類の中でも身近にあり、必ず目にしたことのある代表的な「ロンドンドライジン」

しかし、その明確な定義や他のジンとの違いなど、なかなか知る機会がないものです。

今回は、ロンドンドライジンの定義やそのほかのジンのジャンルについてお伝えしていきます。

それぞれのジンの個性豊かな風味や製法、歴史的な背景を知ることで、さらに豊かなジンとの時間を過ごすことができるでしょう。

ジンについて知ることで、気分やシーンに合わせて最適な一杯に出会うきっかけにもなります。

ぜひ参考にしてみてくださいね。

ジンの製法による定義

まずはじめに、EUにおけるジンの定義は「農作物由来のベーススピリッツにジュニパーベリーで風味付けした、37.5%以上のアルコール度数の蒸留酒」です。

• 農作物由来のベーススピリッツ
• ジュニパーベリーの香りづけ
• 37.5％以上のアルコール度数

この3つの条件を守って蒸留していれば「ジン」と名乗ることができます。

この条件はEUの定めるもので、アメリカでは40％以上のアルコール度数が必要となるなど、国によって違いがあります。

ロンドンドライジンは、ジンの中のカテゴリーのひとつ。

大きく分けて、ジン、蒸留ジン、ロンドンドライジンの3つのカテゴリーに分けられています。

それぞれが独立したカテゴリーではなく、ジンの中に含まれる蒸留ジン、さらにその中に含まれるロンドンドライジンという分類です。

蒸留ジンとは

ジン全般の定義では、ボタニカルを加えてからの再蒸留は必須ではありません。

しかし、蒸留ジンにはジンの定義に下記の条件が加えられます。

• 96％以上に蒸留した農作物由来のベーススピリッツを使用
• ジュニパーベリー、その他の植物を加えて再蒸留

つまり、蒸留ジンを名乗るためには、一度高濃度のベーススピリッツを作ったあと、ボタニカルを加えて再蒸留する工程が必須なんです。

なお、96％以上の高濃度アルコールを得るためには、「連続式蒸留器」と呼ばれる蒸留器を使用しなければならず、ベーススピリッツから製造するメーカーだけでなく、ベーススピリッツは外注して取り寄せているというメーカーも存在します。

ロンドンドライジンとは

ジン、蒸留ジンの条件に加えてさらに製法が厳密に規定されているのがロンドンドライジンです。

• メタノール濃度が5g/100L以下の農作物由来のベーススピリッツを使用
• 蒸留後にはボタニカルを漬け込まない
• 砂糖などの甘味料を添加する場合、0.1g/1L以下
• 無色透明であること

「ロンドン」と地名が付いていますが、産地の指定はありません。

製法に則ったものであればロンドンドライジンを名乗ることができます。

他のジンとの大きな違いは天然のボタニカルだけで香り付けされること。

糖分以外の添加物が基本的にNGなので、クリアで上質な味わいを感じることができます。

「タンカレー」「ビーフィーター」「ゴードン」「ボンベイサファイア」といった4大ジンと呼ばれるジンを含む国際的なジンブランドは、ほとんどがこのロンドンドライジンの製法を採用しています。

ジンのスタイルやタイプ

EU 規格などで定められた「ジン／蒸留ジン／ロンドンドライジン」という製法カテゴリとは別に、歴史・味わい・度数などの違いから派生したバラエティ豊かなジンを紹介します。

ジュネヴァ

ジュネヴァはオランダ・ジンとも呼ばれるスタイルで、トロッとした舌触りとクセのある香りが特徴。

ジンの原型でもあり、オランダ、ベルギー、フランス、ドイツの一部の地域でのみ造ることが許されています。

製法についての明確な定義はありませんが、ベースとなるスピリッツの他にモルトワインと呼ばれる大麦麦芽などの穀物を原料に単式蒸留で造られています。

ストレートやロックで飲まれるのが一般的で、ジン好きの人にも好まれる種類です。

代表的な銘柄として、オランダの「ボルス」があります。

オールドトム

オールドトムは、砂糖などを加えた甘口のジン。

こちらも明確な定義はありませんが、一般的に瓶詰の際に砂糖や甘いボタニカルを2~6%加えるとされています。

オールドトムは、ロンドンドライジンより歴史が長く、連続式蒸留器がなかった時代に雑味の多い味わいにならざるを得なかったジンを飲みやすくするために、砂糖を加えたのが始まりとされています。

トムキャットといわれる、猫をモチーフにした販売機で販売されていたことに由来し、現在でもラベルに猫をあしらった商品が多く販売されています。

シュタインヘーガー

ジュネヴァがドイツに渡り、独自に発展したものがシュタインヘーガーです。

EUの原産地名称保護制度によって、シュタインハーゲンで製造されたもののみがシュタインヘーガーを名乗れることになっています。

ジュニパーベリーのスピリッツと、ニュートラルなスピリッツをブレンドして使用し、それらを再蒸留することで造られています。

ジュニパー由来のウッディな香りが特徴です。

ドイツではビールというイメージがありますが、ビールの前にシュタインヘーガーをショットで飲むという飲み方も好まれています。

熟成ジン

熟成ジンは、ウイスキーなどのように樽に詰めて熟成させたジンです。

通常はジンを熟成させることはないので、主流のスタイルではないですが、根強い人気のあるスタイルです。

ドライなイメージのあるジンですが、樽熟成させることで風味がまろやかになり口当たりがやわらかくなります。

また、樽や原酒の成分が溶けだすことで、深い味わいや奥行きを感じるようにもなるのが特徴です。

熟成することで、美しい琥珀色に変化する液色にも注目です。

日本で造られているおすすめのロンドンドライジン

ここでご紹介するジンたちは、いずれも「ロンドンドライジンの製法をベース」に、日本らしいアレンジやこだわりを加えたクラフトジンたちです。

厳密なロンドンドライジンとは異なる部分もありますが、その土地ならではの魅力が詰まっています。

トーキョーハチオウジン クラシック

トーキョーハチオウジンクラシックは、東京八王子蒸溜所が造る、伝統的なロンドンドライジンの製法に則って造られたスタンダードなジンです。

ロンドンドライジンに引けを取らない東京発のドライジン、トーキョードライジンとして販売されています。

ベースには欧州から輸入したニュートラルスピリッツを使用、厳選した材料で造られ、安心して飲むことができます。

ボタニカルには和柑橘のレモンと甘夏のピールを使用し、カモミールとエルダーフラワーを加えることでフローラルな風味を感じる仕上がりとなっています。

商品名	トーキョー ハチオウジン クラシック（TOKYO HACHIO GIN Classic）
蒸留所名/メーカー	東京八王子蒸留所
生産国	日本
ベーススピリッツ	ニュートラルコーンスピリッツ
使用ボタニカル	ジュニパーベリー、レモンピール、甘夏ピール、ビターオレンジピール、コリアンダーシード、アンジェリカルート、リコリスルート、カルダモン、ジャーマンカモミール、エルダーフラワー（エルダーフラワー含む計12種）
度数	45%
容量	500 ml

東経135度兵庫ドライジン

ロンドンドライジンへの尊敬と、日本のボタニカルでジャパニーズジンを表現する新たな挑戦として誕生したクラフトジンです。

厳選した5種類の日本のボタニカルと、ロンドンドライジンのボタニカルを組み合わせて造られています。

蒸留した山田錦の純米酒を少量加えることで、ヨーロッパの文化と伝統的なジンの製法を大切にしながら酒造りの技法で異なる文化を織り交ぜつつ、日本を感じるオリジナルなクラフトジンに仕上がっています。

商品名	東経135度兵庫ドライジン
蒸留所名/メーカー	海峡蒸溜所
生産国	日本
ベーススピリッツ	ロンドンドライジン＋純米酒蒸留スピリッツ
使用ボタニカル	ジュニパーベリー、アンジェリカルート、コリアンダー、紫蘇、柚子、煎茶、梅、山椒（全8種）
度数	42%
容量	700 ml

季の美　京都ドライジン

ロンドンドライジンの製法をベースに、玉露、柚子、檜、山椒など京都ならではのボタニカルをふんだんに使用したクラフトジン。

ジュニパーベリーの効いたロンドンスタイルに京都のエッセンスが加わったクリーンな味わいが特徴です。

素材や製法のみならず、最高品質のジンを造るために英国と日本で経験を積んだメンバーで製造しているこだわりのクラフトジン。

みずみずしい柚子のアロマと山椒などの和のフレーバーがジュニパーにうまく溶け込み、フィニッシュにかけてジンジャーのスパイスを感じられる味わいです。

京都の山々の神聖な空気のような透明感を感じる1本です。

商品名	季の美 京都ドライジン
蒸留所名/メーカー	京都蒸溜所
生産国	日本
ベーススピリッツ	ライススピリッツ
使用ボタニカル	ジュニパーベリー、柚子、檜、玉露、山椒、赤紫蘇、笹の葉、レモンピール、生姜、オリスルート、コリアンダーシード
度数	45%
容量	200ml

好みの1本を見つけよう！

ロンドンドライジンの定義をはじめ、様々なジンの製法や味わいについてお伝えしました。

ジンとひとことで言っても、その味わいは幅広く多様なジンの世界が広がっています。

ロンドンドライジンに限らず、それぞれの個性ある味わいを楽しみながら、気分やシチュエーションに合わせて楽しむことができるのがジンの大きな魅力ですね。