今や世界中で親しまれるジン。
その爽やかな香りのもととなっているのが、「ボタニカル(植物成分)」と呼ばれるものです。
ボタニカルにはスパイスやハーブ、フルーツの皮や実など様々な種類があり、組み合わせによってジンに様々な風味をもたらします。
そして、ジュニパーベリーには女性に嬉しい効能もいっぱいあります。
この記事では、そんなジンをジンたらしめる香りとも言えるボタニカル、ジンには欠かせない「ジュニパーベリー」の効能やおすすめの使用方法、ジュニパーベリーを使用した香水などをご紹介しています。
ジュニパーベリーどんな味?どんな効能がある?
ジュニパーという常緑の低木に成る直径5mm〜8mmほどの青黒いまたは紫色の柔らかい実のことを『ジュニパーベリー』といいます。
ブルーベリーに似た見た目をしていますが、香りはイチゴやブルーベリー、ラズベリーといったいわゆる『ベリー系』ではなく、森林の澄んだ空気を思わせるウッディで少しスパイシーな香りです。
ほんのりと苦味と甘みも感じさせます。
ジュニパー(学名では「Juniperus communis(ジュニペラス・コミュニス)」和名「*西洋杜松(セイヨウネズ)」)は生息する場所によって変種しやすい植物で、成木になるまでは3〜4年かかり、さらに実がとれるようになるまでは2〜3年かかると言われています。
西洋杜松の「ねず」は「鼠(ねずみ)刺し」の略で、針葉樹ならではの尖った葉を家屋の外の鼠の通り道に突き刺すなどどぶねずみ除けとして使われていたことに由来します。
ジュニパーベリーには様々な効能があり、アロマオイルやハーブティーとして、また料理のスパイスとしても多く使用されています。
ジュニパーベリーを使用した香水やバスオイル、バスソルトなども。
漢方では「杜松実(としょうじつ)」「杜松子(としょうし)」といい、利尿などの効果がある生薬として用いられています。
ジュニパーの歴史とジンとの関係とは?
ジュニパーの枝葉やジュニパーベリーはその芳香と殺菌作用から宗教儀式で焚かれたり、古くから薬草として用いられています。
コレラや腸チフスのような多くの伝染病や外傷の治療に対し医療上の役割を果たしてきたと言われており、ヨーロッパでは「悪魔祓い」のハーブとして魔除けや病気避けに、フランスの病院ではローズマリーなどと一緒に小枝を焚くことで長い間病棟の空気を浄化することに使われていたそうです。
コレラとはコレラ菌と呼ばれる細菌を原因菌とした感染症です。経口感染で広がる感染症であり、コレラ菌で汚染された水や食物を口にすることで感染します。主な症状は下痢と嘔吐です。
腸チフスとはチフス菌に感染し、全身に症状を起こす感染症です。東南アジア、中南米、アフリカなど各地で多く発生しており、繰り返し流行しています。日本でも昭和初期から終戦後にかけてよくみられた感染症でしたが、衛生環境の改善に伴い、発生は一気に低下しました。
お酒のジンも、オランダの大学医学教授によって薬用として研究、開発されました。
ジュニパーベリー(ジンに必ず使用される)に利尿作用や解熱作用があることからもとはマラリアやチフスなどの熱病の治療薬として期待されていましたが、香りが良いことから薬としてではなく酒としてオランダ国内で流行し、今日まで親しまれています。
なかでもクラフトジンは、ジュニパーベリー以外に組み合わせるボタニカルに制限がなく、その自由度の高さから広まり2024年の今、流行し始めています。
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ジュニパーベリーの嬉しい効能
体に溜まった老廃物を流しデトックス
ジュニパーベリーには利尿作用や発汗作用など体に溜まった毒素を排出するデトックス効果や、新陳代謝を高め血液やリンパの流れを良くする効果があります。
胃の働きを整える効果もあるので、食べ過ぎや消化不良の改善にはもちろん、ハーブティーとして飲んだりアロマオイルとして使用することでむくみや水太りの解消、便秘の解消、セルライトの除去を助けるとも言われており、ダイエットにもおすすめです。
また、腹痛や生理痛などの鎮痛、筋肉痛や関節痛などの予防にも良いとされています。
私もデトックスウォーターを作り、持ち歩いています!
代謝が上がり、夏でもバテない身体に。
(水に輪切りのオレンジやレモンを入れ一晩漬け置く、イチゴやキウイを入れてもいいです。ジュニパーベリーでデトックスウォーターを作ってもいいですね♪)
ジュニパーベリーは腎機能や子宮への刺激となってしまうおそれがあるので腎臓に疾患を持っている方、妊娠中または授乳中の方は医師に相談してからご使用またはご使用を控えてください。
また血糖値を下げすぎるおそれがあるので糖尿病の場合はご使用を控えてください。
爽やかな香りで心身をリフレッシュ
ジュニパーベリーのすっきりとして凛とした香りは、心身を浄化して気持ちを前向きにリフレッシュさせてくれる効果があります。
アロマオイルやアロマスプレーなどとして使用すると、深い森林の中にいるような深いリラックス感が得られ疲れ切った心身を癒してくれます。
また、脳内をスッキリとさせ集中力をアップしてくれるので、気持ちを切り替えたい時にもおすすめです。
肌の炎症を抑えキメ整った美肌へ
ジュニパーベリーには『タンニン』や『ビタミン』が含まれており、皮脂のバランスを整えたり、毛穴を引き締めてくれたりと美肌にもとても効果があります。
抗菌作用、抗炎症作用がある為ニキビや傷跡を目立たなくしたり、治りを早めて炎症による痛みを静めてくれます。
ハーブティーとして飲むことで体の内側から肌にもアプローチが出来ます。肌に直接オイルなどを使用する場合は、”ホホバオイル”などで希釈をして気になる箇所に一、二滴垂らしてください。
ジュニパーベリーのオイルは原液の状態では刺激が強い為、原液を直接肌に塗布することは控えた方が良いです。必ずキャリアオイルや乳液などで希釈をした上で使用しましょう。
空間を浄化、虫除けにも
ジュニパーベリーには抗菌や抗ウイルス作用もあり、アロマスプレーやアロマディフューザーとしてお部屋に使用することで空気や空間を浄化、消臭にも役立ちます。
また、虫が嫌うハーバルな香りなので、防虫にも効果があるとされています。
おすすめの使い方
アロマオイル
ジュニパーベリーから抽出された精油は、一般的にアロマオイル、エッセンシャルオイルとして非常によく使用されています。
気分をリフレッシュしたい時にハンカチや持ち物に1〜2滴垂らしたり、スキンケアとして、また衣類にスプレーとして使用したり、ディフューザーで香りを拡散させて芳香浴をすることなどがおすすめです。
おすすめブレンド
シトラス、レモングラス | 控えめな甘さとジンを思わせるすっきりとした香りは、シトラスやベルガモット、オレンジ、グレープフルーツ、レモングラスなどの柑橘系の香りとの相性が良いです。心身をリフレッシュしたい時におすすめの組み合わせです。 |
ラベンダー、ローズマリー | 基本的に清涼感のある香りなのでハーバル調の香りとも相性がいいです。疲労を癒し、頭をスッキリとさせてくれるので気持ちを切り替えて前に進みたい時、集中力を高めたい時などにおすすめの組み合わせです。 |
シダーウッド、サンダルウッド | ジュニパーベリーそのものがウッド調の香りに近いので、同種の香りともよく合います。特にサンダルウッドなど甘みがあり重たい精油とは非常にバランスがいいとされています。奥深く落ち着いた穏やかな香りで、心身ともにリラックスしたい時におすすめの組み合わせです。 |
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ハーブティー
ジュニパーベリーの持つデトックス効能を体の中から実感するには、ハーブティーとして飲むのが最もおすすめです。
ジュニパーベリーはお酒のジンそのものの風味を持ちますが、シングルで飲むには味が殆どないのでお好みのお茶とブレンドして飲むのがおすすめです。
- 単品で飲む場合は浅めのティーカップ(180cc)に対しティースプーン2杯程度をティーポットに入れ、お湯を注ぎます。
- お湯を注いで3分ほど蒸した後、スプーンの背などで軽く実を潰すとより香りが出て効果的です。
おすすめブレンド
からだの巡りを整えたい時におすすめの組み合わせです。
レモングラス | 柑橘系の味をメインに、ジュニパーベリーの風味をプラスすることで後味がスッキリとして爽やかなハーブティーになります。 |
ダンデライオン | 古くから療法に用いられてきた、同じくデトックス作用のあるハーブ。ブレンドして飲むことでよりダイエットやむくみ対策に効果的です♪ |
ピーチメルバ、ハイビスカス | 甘酸っぱくフルーティーな味わいのハーブ。 そのまま飲んでも美味しいハーブティーです。ジュニパーベリーをプラスすることで甘さの中に清涼感を楽しめます。 |
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料理のスパイスとして
ジュニパーベリーは、そのハーバルでスパイシーな香りから料理のスパイスとしてもよく使用されています。
ハムやパテ、肉料理、肉のマリネやジビエ料理に臭み消しとして、ローズマリーなどと一緒に添えて香味付けに、またキャベツと相性が良く酢にも合うのでザワークラウトやピクルスに入れる、ドレッシングに入れる、など使用方法はさまざまです。
香水やバスソルトにも
ジュニパーベリーの香りは、空間で演出すれば落ち着いた森林の静けさを思わせますが、お酒の「ジン」のイメージとも相まってどこか都会的でモダンな印象を併せ持ちます。
クールで洗練された大人の雰囲気漂う香り、とも表現できるその香りから、メンズ用香水に使われることが少なくありません。
(ユニセックスな香りなので男女問わず使いやすいです♪)
ジュニパーベリーを使用した香水3選
diptyque(ディプティック) オルフェオン オードパルファム
キーノート | ジュニパーベリー、シダー、トンカビーンズ、ジャスミン |
トップにはジュニパーベリーがしたたかに香ります。
シダーの深み、ジャスミンの豊かさ、上品でノスタルジックなミドルノートに、ラストには温かみのあるトンカビーンズのパウダリーな甘さがふわっと香ります。
全体的にアンティークで色気のある香りで、男性支持が熱い香りです。
PENHALIGON’S(ペンハリガン) ジュニパー スリング オードトワレ
トップノート | シナモン、オレンジブランデー、アンジェリカ、ジュニパーベリー |
ミドルノート | カルダモン、レザー、ブラックペッパー、イリスウッド |
ラストノート | ブラウンシュガー、ブラックチェリー、ベチバー、アンブロックス |
ドライ・ジンに着想を得た遊び心あふれるフレグランス。ジュニパーベリーのフレッシュですっきりした森林の香りにアンジェリカ、スパイス、レザー、イリスウッドが交じり合って時間と共にほのかな甘さが増していきます。センシュアルでありながらもクリーンな、こちらも色気のある香り。
CHANEL(シャネル) パリ エディンバラ オードゥ トワレット
トップノート | ジュニパーベリー、サイプレス |
ミドルノート | シダー、ベチバー、ラベンダー |
ラストノート | ムスク、バニラ |
ジュニパーベリーとサイプレスのウッディで清涼感あふれるトップノートは爽やかに心をリフレッシュさせてくれます。
続いて自然の深みを感じ落ち着きを感じさせるスモーキーな木々の香りに花の優雅さが絶妙に組み合わさったミドルノート、ムスクとバニラのラストノートで温かい仕上がりに。スコットランドの雄大な大地で感じるささやかな喜びを表現したフレグランス。
他にも、体を内側から温めてくれたり、巡りをよくして筋肉の疲れを癒す、むくみを解消する効果があることからバスソルトやバスオイルなど入浴剤にもよく使用されています。またポプリやサシェ、アロマワックスなど香りのワンポイントとなるものに独特なアクセントを加える素材としてもジュニパーベリーが多く使用されています。
ジュニパーベリー以外にジンと相性のいいボタニカル、スパイス4選
ジンには必ずジュニパーベリーが使用されます。他に入れるボタニカルは言ってしまえばなんでも良いのがジン。では他にどんなボタニカルが使用されることが多いのでしょうか?
代表的なボタニカルを四つに絞ってご紹介いたします。
コリアンダーシード
コリアンダーは、地中海沿岸が原産地のセリ科の植物です。葉の部分は「パクチー」「香菜(シャンツァイ)」などと呼ばれ、タイ料理やベトナム料理でお馴染み「パクチー」として有名です。強烈で独特な芳香を持つ葉や茎の部分ではなくジンに使われるのは『コリアンダーシード』という完熟した種子の部分で、甘く爽やかな柑橘系の香りと若干のスパイシーさがあります。
コリアンダーシードを使ったジン
「SACRED CORIANDER GIN」、「銀鼠-GINnez-」、「欅 KEYAKI」など
アンジェリカ
セイヨウトウキ(西洋当帰)のセリ科の植物です。アンジェリカはラテン語で「天使」を意味します。ヨーロッパで古くから利用されてきた植物で、天使(エンジェル)が秘めたる力を人間に教えてくれたという言い伝えに由来します。別名「精霊の根」(ホーリースピリットルート)や「天使のハーブ」とも呼ばれ、神聖な植物として扱われていました。ジンには根の部分を乾燥させたウッディな芳香のアンジェリカ・ルートが主に使用されますが、アンジェリカ・シード(種)を利用した銘柄もあります。シードの方がわずかに甘味がありスパイシーさも強いです。
アンジェリカ(シード)を使用したジン
「ビーフィータージン」など
レモンピール、オレンジピール
ボタニカルにはしばしばフルーツの実だけでなく皮なども使われます。柑橘系の香りはジュニパーベリーとも、ジンとも非常に相性が良いです。オレンジの方が甘味が強くフルーティーな香りがしますが、どちらもジンにシトラスフレーバーをもたらします。
レモンピールを使用したジン
「ボンベイ・サファイア プレミアクリュ」「MALFY GIN CON LIMON」など
カルダモン
ショウガ科の種子を乾燥させたもので、カレーには欠かせないスパイスです。世界二大生産地はグアテマラ・インド。環境が整わないと開花や結実がうまくいかないため生産地は限定されます。また、その年の天候や降雨の条件により生産量が左右され、相場の変動が激しいスパイスとしても有名です。清涼感の中に柑橘類を感じさせる優しい甘さが交じり合った香りです。
カルダモンを使用したジン
「TATEYAMA GIN ELEMENT 005 カルダモン」「MALEFICIO・マレフィシオ ドライ・クラフトジンなど」
ジュニパーベリーはどこで買えるの?
ジュニパーベリーは一般的に、食料品・スパイスとして取り扱われています。ジュニパーベリーのアロマオイル、香水などは一般的なアロマ、香水の専門店へ行けばその芳香を楽しむことができるでしょう。
ハーブティーに入れる場合も、料理のスパイスに使用する場合も大型のショッピングセンターのような食品店や、国内外の名産品を取り扱う食品店、百貨店内の食料品コーナーなどで販売されています。
「ジュニパーベリー」を購入できる路面店
- イオン
- 西友
- イトーヨーカドー
- KALDI
- 成城石井
- 伊勢丹
- 大丸
- 高島屋
また、店舗に足を運ぶことが手間な方は通販サイトを利用することをお勧めいたします。
通販サイトでも、簡単に「ジュニパーベリー」を購入することが可能です。
さいごに
からだにもこころにも嬉しい効能があり、とっても魅力的な香りのジュニパーベリー。
ジンと言えば…なボタニカルを紹介してみました。筆者はアロマオイルをハンカチに垂らしてシャキッと、でも落ち着きたい時にその独特の香りを嗅いでやすらいでいます。
ジンを飲む時には、その香りをもたらすボタニカルに注目してみてもいいですね♪