クラフトジン「那覇晴」と女性蒸留家・矢加部里衣奈さんの情熱

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この記事の著者

徳留 康矩

徳留 康矩

雪の日に旅先の蕎麦屋で飲んだクラフトジンに魅せられたウェブライター。
温泉好きも手伝って旅先で飲むその土地のお酒が大好き。
旅で見つけた美味しい食材を自宅でお酒のつまみにするのが得意技。

こんにちは。GinYaMEDIAの徳留(@dome8686)です。今回、クラフトジン愛好家の皆様にとって新たな「推しジン」となること間違いなしの、沖縄・那覇で生まれたクラフトジン「那覇晴(なはばれ)」に注目しました。
池袋のクラフトジンBarコパンで、那覇晴蒸留所の蒸留家である矢加部里衣奈さんにお話を伺い、翌日は渋谷のカクウチベースPOP UP(@kakuuchibase.shibuya)でのイベントに参加。多くのジン好きが集い、沖縄の恵みを感じるジンで乾杯する熱気に包まれました。
ジン初心者の方でも「スイスイ飲める」をコンセプトに設計された「那覇晴」の魅力と、蒸留家・矢加部さんのジン造りへの情熱に迫ります。

沖縄のボタニカルを世界へ:那覇晴蒸留所とは

那覇晴蒸留所は、2024年1月にファーストリリースを果たしました。那覇国際通りに面した小さな蒸留所から、亜熱帯気候の太陽と大地が育んだ光り輝く沖縄の恵みを贅沢に使用した「沖縄の大地の雫」が生み出されています。
那覇晴を造るのは、沖縄那覇の生まれである女性蒸留士、矢加部里衣奈さんです。この蒸留所は、千葉県にある酒屋「いずみや」が沖縄の那覇に立ち上げたものです。

蒸留家・矢加部里衣奈さんがジンに魅せられた理由

ジェーニャさんと真剣にジンについてお話し中


もともとお酒が大好きで、仕事仲間と一緒に蒸留所見学に行くほどだったという矢加部さん。ジン造りに携わるきっかけは、ある蒸留所で商品の説明をする蒸留士の姿でした。その蒸留士が「この子のキャラクターはね〜」とお酒を愛情込めて説明する様子を見て、「なんて素敵なんだ」と感動し、蒸留酒の世界を深掘りしたいと思うようになったといいます。
前職は酒屋で勤務していましたが、このプロジェクトの話が持ち上がり、矢加部さんの持つ「熱量」が評価されて参画することになりました。数ある蒸留酒の中でジンを選んだのは、ジンは「個性を出しやすい」こと、そしてご自身の地元でもある沖縄の感性を「うまく表現しやすい」と感じたからだそうです。

初心者にも優しい「食中酒」コンセプト

那覇晴の大きな特徴は、そのコンセプトにあります。那覇晴は、元々「食中酒」として開発されました。

  • 度数と価格を抑えた理由: アルコール度数を40%に抑え、価格も抑えたのは、「波(並)の上=中の上」のジンを作りたかったという思いからです。
  • 飲みやすさへのこだわり: ソーダ割りでほとんどすぐスイスイ飲めて、さらに「アレンジしても美味しい」「何で割っても合う」と矢加部さんは語ります。これは、普段ジンを飲まない方たちにもたくさん飲んでほしいという思いが込められているからです。
  • ペアリング: 唐揚げなど、おうちで食べる食事に合わせて楽しむことを想定して設計されています。ソーダ割りは沖縄の天ぷらなどにもよく合うそうです。

シンプルだからこそ光る沖縄ボタニカル

そのまま食べてもとても美味しい黒糖


試行錯誤を重ねた結果、那覇晴のボタニカル構成は「引き算」の考え方でシンプルになり、最終的に「クラシックなところに戻っていった」といいます。

那覇晴に使用されている主なボタニカルをご紹介。

ボタニカル名産地・特徴
勝山シークワーサーピールシークヮーサーの里、名護市勝山に古くから自生していた貴重な「勝山シークワーサー」の皮のみを贅沢に使用しています。香り高い生の皮を使用しているため、商品化までに時間を要したそうです。
宜野座の純黒糖夜明け前より収穫したサトウキビを使用し、今ではほとんど行われていない「薪炊き」で作られた純黒糖は、口当たりの良いスッキリとした甘みが特徴です。
南城市のピィパーズ (島胡椒)ピィパーズは石垣島の方言で胡椒のことです。八重山や沖縄本島で古くから栽培され、スパイシーなアクセントとマイルドな香りが特徴の「島こしょう」です。矢加部さん自身、この甘い香りが好きだそうです。

これら沖縄産のボタニカルに加え、ジュニパーとコリアンダーが海外産として使用されています。

【豆知識:ボトルの違い】 那覇晴蒸留所では、2025年現在「波ノ上人(なみのうえじん)」「那覇晴(なはばれ)」「F1ジン」の3つのラインナップがあります。波ノ上人と那覇晴は中身は同じですが、波ノ上人(1800mlの一升瓶)は母体である酒屋「いずみや」の顧客である飲食店様向けに作られ、那覇晴は個人購入者向けに名前違いで作られたボトルです。

クラシカルな挑戦:「F1ジン」に込めたこだわり

那覇晴蒸留所は、2025年8月には新しいラインナップ「F1ジン」を発売しました。
F1ジンは、宜野座産の純黒糖や島長胡椒などの沖縄産ボタニカルに加え、ジュニパーベリーを通常の2倍使用しており、「波ノ上人・那覇晴と比べ、クラシカルな味わいを楽しめるジン」になっています。
このF1ジンは、缶のデザインが先行して決まるというユニークな経緯をたどり、中身を固めるのに約1年半かかった商品だそうです。
クラシカルでジュニパーベリーがガツンとくるジンが好みだという矢加部さんは、ジュニパーベリーの扱い方を徹底的に研究しました。潰す、砕く、煮込む、漬けるなど、さまざまな方法を試した矢加部さんが決めた方法は、ジュニパーベリーを「軽く潰す」「ちょっと軽く傷をつける」という手作業に落ち着いたといいます。これは、砕きすぎると「えぐみ」が出てしまうと感じたためで、こだわりポイントの一つです。

イベントレポート:渋谷カクウチベースでの楽しみ方

矢加部さんが来られた渋谷のカクウチベースでのイベントでは、那覇晴を使用したジンソーダやジントニックのほか、沖縄を彷彿とさせる素敵な色のオリジナルカクテルも提供されました。
筆者もF1ジンをホットで試飲してみたところ、「黒糖の甘やかさが優しく包みこんでくれる印象」で、「甘さのレイヤーが美しい」と感じられました。
沖縄の情熱と地元の恵み、そして蒸留家のこだわりが詰まった「那覇晴」。ぜひご自宅で、お気に入りの飲み方や食事と合わせて、その「沖縄の大地の雫」を味わってみてください。

関連リンク

動画が見れない方はこちら→https://www.youtube.com/watch?v=nsiSR5DNoMM

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