カクテルのレシピを見ていると、「シェイク」「ステア」という言葉を目にすることがあります。
どちらもカクテルの材料を混ぜるための基本的な技法ですが、仕上がりには大きな違いがあります。
特にジンをベースにしたカクテルでは、シェイクとステアの違いが味わいや口当たりに表れやすく、同じ材料を使っていても印象が変わることがあります。
今回は、カクテルの「シェイク」と「ステア」の違いを温度・希釈・口当たり・香りの変化などの観点から解説します。
ジンを使ったカクテルを中心に、それぞれの技法が向いているカクテルも紹介します。
カクテルの「シェイク」と「ステア」とは?
シェイクとは?

シェイクとは、シェーカーにカクテルの材料と氷を入れ、上下に振って混ぜる技法です。
シェーカーを振ることで、材料を短時間で混ぜ合わせながら冷却します。
また、シェイクには単に材料を混ぜるだけでなく、氷から水分を加える「希釈」や、カクテルに細かな気泡を含ませる作用もあります。
そのため、シェイクで作ったカクテルは、ステアで作ったものと比較して、口当たりがやわらかく感じられることがあります。
代表的なカクテルは、ジンをベースにした「ギムレット」です。
ジンにライムジュースやシロップなどを合わせるギムレットは、異なる性質の材料をしっかり混ぜ合わせる必要があるため、シェイクが適したカクテルのひとつです。
ステアとは?

ステアは、グラスに材料と氷を入れ、バースプーンなどで静かにかき混ぜる技法です。
シェイクのように大きく振るのではなく、氷を回転させるようにして材料を混ぜながら冷却します。
ステアの特徴は、材料を混ぜながらも、カクテルへの刺激を比較的抑えられることです。
ジンやベルモットなど、液体同士で構成されるカクテルでは、ステアによって透明感のある滑らかな仕上がりを目指せます。
代表的なのがマティーニです。
マティーニはジンとドライベルモットを主体とするシンプルなカクテルだからこそ、ステアによる温度や希釈のコントロールが非常に重要になります。
シェイクとステアの違いを比較

「温度」のコントロール
シェイクとステアの大きな違いのひとつが、カクテルを冷却する方法です。
シェイクでは、シェーカーを振ることでカクテルと氷が激しく接触します。
そのため短時間で材料を冷やしやすく、キリッとした冷たさを感じるカクテルに仕上げやすいのが特徴です。
一方、ステアでは氷を回転させながら、比較的穏やかに冷却します。
特にマティーニのようなカクテルでは、ただ冷たくするのではなく、適度に冷却しながら希釈することが重要です。
ジンとベルモットを冷やすだけでなく、氷が少し溶けることでカクテルに水分が加わり、アルコールの刺激が和らぎます。
つまり、カクテルにおける「冷たさ」は、単純に温度が低ければいいというものではありません。
冷却と希釈のバランスを取ることが、味わいを整えるポイントです。
「希釈」の程度
カクテルでは、氷が少し溶けて水分が加わることを「希釈」と呼びます。
希釈はカクテルを薄めることですが、必ずしも悪いことではありません。
むしろ、適度な希釈によってアルコールの刺激が抑えられ、香りや味わいを感じやすくなることがあります。
シェイクでは、氷とカクテルが激しく接触するため、短時間でも効率的に冷却・希釈が進みます。
一方のステアでは、氷を回転させながらゆっくりと希釈していきます。
材料がシンプルなカクテルでは、この希釈の違いが味わいに大きく影響します。
例えば、希釈が少ないカクテルは、ジンのアルコール感やボタニカルの香りが力強く感じられます。
反対に適度に希釈すると、アルコールの角が取れ、滑らかな味わいになります。
「口当たり」が変わる
シェイクとステアでは、口当たりにも違いが出ます。
シェイクしたカクテルは、材料が強く混ざり合うことで、比較的やわらかな質感になりやすいのが特徴です。
また、シェイクによって液体に微細な気泡が入り、口に含んだときの印象が変わることもあります。
一方、ステアは液体を穏やかに混ぜるため、比較的クリアで滑らかな口当たりに仕上がります。
特に透明感のあるカクテルでは、ステアによる繊細な質感を楽しみやすいでしょう。
この違いを分かりやすく体験するなら、同じ材料のカクテルをシェイクとステアで作り比べてみるのもおすすめです。
材料が同じでも、口当たりや香りの立ち方が異なることを感じられるでしょう。
「透明感」にも影響
ステアで作られるカクテルには、透明感を重視するものが多くあります。
ミキシンググラスの中で氷と材料を静かに混ぜることで、液体を必要以上にかき乱さず、クリアな見た目に仕上げやすくなります。
一方、シェイクでは氷や液体が激しく動くため、カクテルに細かな気泡などが含まれ、白っぽく見えることがあります。
この現象は、カクテルの見た目だけでなく、口当たりにも関係します。
シェイクが向いているジンカクテル

シェイクは、複数の材料をしっかり混ぜ合わせたいカクテルに向いています。
ギムレット
ジンにライムジュースや甘味を加えて作るギムレットは、シェイクが代表的な技法です。
ジンのボタニカル、ライムの酸味、甘味をしっかりと一体化させることで、爽やかでバランスの取れた味わいになります。
ホワイト・レディ
ジン、ホワイト・キュラソー、レモンジュースを使うホワイト・レディも、シェイクで作られる代表的なジンカクテルです。
酸味や甘味を含む材料をシェイクすることで、味わいを一体化させます。
アビエーション
ジン、レモンジュース、マラスキーノ・リキュールなどを使うアビエーションもシェイク向きです。
複数の材料をしっかり混ぜることで、酸味と甘味、ジンの香りをバランスよく楽しめます。
ステアが向いているジンカクテル

一方、ステアは透明な液体を中心に構成されたカクテルと相性がよい技法です。
マティーニ
ステアを代表するジンカクテルです。
ジンとドライベルモットというシンプルな組み合わせだからこそ、冷却と希釈のバランスが味わいを左右します。
ネグローニ
ジン、カンパリ、スイートベルモットを同量で合わせるネグローニも、一般的にはステアで作ります。
それぞれ個性の強い材料を合わせることで、ジンのボタニカル、カンパリの苦味、ベルモットの甘味が調和します。
ステアによって滑らかに仕上げることで、3つの材料の個性を楽しみやすくなります。
ギブソン
マティーニの派生形のひとつとして知られるギブソンも、基本的にステアで作られます。
ジンとドライベルモットを合わせ、カクテル・オニオンを添えるのが特徴です。
マティーニ同様、ベースとなるジンの個性を楽しみやすいカクテルです。
シェイクとステアは「材料」で使い分ける

シェイクとステアを使い分けるときは、材料にも注目してみましょう。
ひとつの目安になるのが、ジュースやシロップなどが入っているかどうかです。
レモンジュース、ライムジュース、卵白、クリームなど、性質の異なる材料を含むカクテルは、シェイクによってしっかり混ぜることで味わいをまとめやすくなります。
一方、ジン、ベルモット、リキュールなど、基本的に透明な液体だけで構成されるカクテルは、ステアが適している場合があります。
カクテルにはさまざまなレシピや流派があり、同じカクテルでもバーテンダーによって技法が異なります。
シェイクとステアの違いを知って、ジンカクテルをもっと楽しもう

シェイクとステアは、単に「振る」「混ぜる」という作業の違いではありません。
カクテルの仕上がりにさまざまな影響を与える重要な技法です。
特にジンを使用したカクテルでは、シンプルな材料構成のカクテルが多いため、作り方による違いを感じやすくなります。
マティーニならステアで滑らかに仕上げ、ジンそのもののボタニカルやベルモットとの調和を楽しむ。
ギムレットやホワイト・レディならシェイクして、ジンと柑橘、甘味を一体化させる。
ネグローニならステアによって、ジン・カンパリ・ベルモットそれぞれの個性を調和させる。
このようにカクテルごとに技法が選ばれていることを知ると、バーでカクテルを注文するときも、より深く味わえるようになりますね。





