ジンといえば、ドライでシャープな味わいを思い浮かべる方が多いでしょう。
そんなイメージと少し異なる、やさしい甘みと丸みのある味わいを持つ「オールドトムジン」というスタイルがあります。
クラシックカクテルの世界では重要な役割を果たす存在ですが、一般的にはあまり知られていないのが現状です。
今回は、オールドトムジンの特徴や味わいだけでなく、歴史的背景からロンドンドライジンとの違いまで掘り下げて解説していきます。
おすすめの、オールドトムジンも紹介していますので是非参考にしてみてください。
オールドトムジンとは

オールドトムジンとは、18世紀から19世紀にかけてイギリスで広く流通していたジンのスタイルのひとつです。
オールドトムジンの最大の特徴はほのかな甘み。
現代の主流であるロンドンドライジンは、糖分を加えずにすっきりした味わいに仕上げるのが特徴ですが、オールドトムジンは製造の過程で砂糖や甘味料を加えることで口当たりをまろやかにしています。
より甘口なオランダの伝統的なジン「ジュネヴァ」とロンドンドライジンの中間的な存在ともいわれています。
味の特徴
オールドトムジンの味わいを表すのに、「甘いジン」と表現するだけでは不十分です。
実際には、甘みだけでなくボタニカルの香りが絶妙に調和し、複雑な風味を持っています。
ジュニパーベリーの香りは控えめで柔らかく、ほのかな自然な甘みが感じられます。
柑橘系の爽やかさが広がり、全体的に口当たりが非常になめらかです。
このように、オールドトムジンはバランス型の味わいが大きな魅力。
アルコールの刺激も比較的穏やかで、ジン初心者にも親しみやすいスタイルです。
さらに、銘柄によって甘みの強さや香りが異なるので、飲み比べをする楽しみもあります。
それぞれの個性の幅が疲労のも特徴のひとつです。
オールドトムジンの歴史
18世紀のイギリスでは、ジンは非常に安価で手に入りやすいお酒として庶民の間で爆発的に広がりました。
しかし、その多くは粗悪な品質で、強いアルコールの匂いや不純物による苦味が問題視されていました。
そこで、それらの雑味を隠すために砂糖を加えて味を整える方法が考えだされました。
この方法により、飲みにくかったジンが親しみやすいものへと変化し、オールドトムジンが広く普及していきました。
名前の由来にもなっている「トムキャット(雄猫)」は、当時違法な酒の販売方法として、壁に描かれた黒猫の看板の裏にジンを隠し、猫の口から提供したというエピソードから生まれたといわれています。
このように、オールドトムジンは当時の社会状況や文化を反映した歴史的なストーリーがあります。
アルコール度数
オールドトムジンのアルコール度数は一般的に40%~45%です。
これはロンドンドライジンとほぼ同じで、決して度数が低いわけではありません。
しかし、甘みが加わっていることで、アルコールの刺激が和らぎ、実際のアルコール度数よりも軽く感じられることがあります。
そのため、知らず知らずのうちに飲み過ぎてしまうこともあるため、注意が必要です。
ロンドンドライジンとの違い
オールドトムジンとロンドンドライジンの違いは、単なる甘さだけではありません。
まず、製法ではロンドンドライジンでは蒸留後に甘みを加えないことになっているのに対し、オールドトムジンは後から甘みを加えることが許容されています。
この違いが、味の違いに大きく影響しています。
また、カクテルにすると、ロンドンドライジンはキレのある仕上がりを演出するのに適しているのに対し、オールドトムジンで作るカクテルは全体をまとめ、丸みをとる役割をしています。
クラシックなカクテルでは、当時のレシピがオールドトムジンで作られていることも多く、再現性を高めるには欠かせない存在となっています。
飲み方いろいろ
オールドトムジンは、そのまろやかな味わいを活かした飲み方がおすすめです。
ストレート・オンザロック
まずは、シンプルにストレートやオンザロックで。
甘みとボタニカルのバランスをじっくりと楽しむことができます。
氷を加えることで、さらに口当たりが柔らかくなります。
トム・コリンズ
トム・コリンズは、オールドトムジンを代表するカクテルです。
レモンジュース、シロップ、炭酸水を加えて作ります。
レモンの酸味と炭酸の爽快感にジンの甘味が絶妙にマッチします。
おすすめのオールドトムジン5選
Jinx Old Tom Gin
かわいいトムキャットが描かれたボトルに控えめな甘さと共に強烈なオレンジフレーバーを感じる、ニュースタイルのオールドトムジンです。
ボタニカルには、ジュニパーベリー、リコリス、スウィートオレンジピール、ビターオレンジピール、レモンピール、グレインズオブパラダイス、コリアンダーシード、アンゼリカルートの全8種類が使われています。
通常のジンに比べて多くのスウィート&ビターオレンジピールを使うことで、独特の味わいが表現されています。
ロンドンで蒸留された正統派のジンです。
| 商品名 | Jinx Old Tom Gin(ジンクス オールドトムジン) |
|---|---|
| 蒸留所名/メーカー | アスターグレン社 |
| 生産国 | イギリス |
| ベーススピリッツ | ニュートラルスピリッツ |
| 使用ボタニカル | ジュニパーベリー、リコリス、スウィートオレンジピール、ビターオレンジピール、レモンピール、グレインズオブパラダイス、コリアンダーシード、アンゼリカルート |
| 度数 | 43% |
| 容量 | 700ml |
HERNO Old Tom Gin
8種類のボタニカルを使用したヘルノロンドンドライに、甘い香りをもつハーブ「メドウスイート」をさらに加えて蒸留し、アルコール度数を43%に調整したオールドトムスタイルのジン。
ほどよい甘みは花のようなフローラルさを強調し、ジュニパーベリーの鮮烈な香りが余韻を飾ります。
| 商品名 | HERNO Old Tom Gin(ヘルノ オールドトムジン) |
|---|---|
| 蒸留所名/メーカー | Hernö Distillery |
| 生産国 | スウェーデン |
| ベーススピリッツ | オーガニック小麦由来スピリッツ |
| 使用ボタニカル | ジュニパーベリー、コリアンダーシード、メドウスイート、リンゴンベリー、カシアバーク、ブラックペッパー、レモンピール、バニラ |
| 度数 | 42% |
| 容量 | 500ml |
HAYMANS OLD TOM GIN
ヘイマンズオールドトムジンは、通常のジンに約2%の糖蜜を加えた甘口でまろやかな味わいが特徴のジン。
世界中のバーテンダーなどから依頼され、1800年代のレシピをそのままにヘイマン・ディスティラリーで復刻されました。
ほどよい甘みとコクが調和したクラシックなスタイルは、カクテルのベースとしても活躍しています。
| 商品名 | HAYMANS OLD TOM GIN(ヘイマンズ オールドトムジン) |
|---|---|
| 蒸留所名/メーカー | Hayman Distillers |
| 生産国 | イギリス |
| ベーススピリッツ | 穀物由来スピリッツ(グレインスピリッツ) |
| 使用ボタニカル | ジュニパーベリー、コリアンダーシード、アンジェリカルート、オリスルート、レモンピール、オレンジピール、リコリス |
| 度数 | 41.4% |
| 容量 | 700ml |
季の美 KI NO TOU
定番製品の「季の美」と同じ11種類のボタニカルと、与那国島の黒糖を加えて造ったオールドトムスタイルのジン。
黒糖は、白糖と比べてビタミン、ミネラルを豊富に含み、甘みのみならず複雑な味わいを感じさせてくれます。
デーツとジュニパーの味わいの後にキャラメリゼした生姜が感じられ、柚子のジャムの味わいが長い余韻を演出します。
アルコール度数を47%と少し高めに調整することで、黒糖の持つ甘みと複雑さがボタニカルの風味と別のバランスで調和しています。
| 商品名 | 季の美 KI NO TOU |
|---|---|
| 蒸留所名/メーカー | 京都蒸溜所 |
| 生産国 | 日本 |
| ベーススピリッツ | 米スピリッツ |
| 使用ボタニカル | ジュニパーベリー、柚子、山椒、檜、玉露、赤紫蘇、生姜、オリスルート、コリアンダーシード ほか |
| 度数 | 47% |
| 容量 | 700ML |
COTS WOLDS OLD TOM GIN
コッツウォルズ・オールドトムジンは、アルコール度数60%のニュートラルなグレーンスピリッツにジュニパー、コリアンダー、アンジェリカとともに、新鮮なオレンジの皮、リコリスルート、ジンジャーの粉末、キャラウェイ、カルダモンを加えて蒸溜しています。
この蒸留で、「ハート」と呼ばれる中留部分だけを取り出し、オールドトムの伝統的なレシピに従って少量のシュガーシロップを加え、アルコール度数を42%に調整してボトリングされています。
リコリスルートの甘いウッディな香りと、軽やかでスパイシーなジンジャーと、味わい豊かなオレンジの風味が絶妙にマッチし、フィニッシュにはほのかなカルダモンの後味が香ります。
| 商品名 | COTS WOLDS OLD TOM GIN(コッツウォルズ オールドトムジン) |
|---|---|
| 蒸留所名/メーカー | Cotswolds Distillery |
| 生産国 | イギリス |
| ベーススピリッツ | 小麦由来スピリッツ(ウィートスピリッツ) |
| 使用ボタニカル | ジュニパーベリー、コリアンダーシード、アンジェリカルート、オリスルート、リコリス、グレープフルーツピール、オレンジピール、蜂蜜 |
| 度数 | 41.7% |
| 容量 | 700ml |
ストーリーあるオールドトムジンを楽しもう

オールドトムジンは、ジンの歴史の中で重要な役割を果たしてきた伝統的なスタイルです。
ほのかな甘みとやわらかな口当たりは現代のドライジンとは異なる魅力を持ちます。
オールドトムジンの歴史的背景には、製造技術の発展や文化的な工夫がありました。
単なる味の違いだけでなく、歴史やストーリーを一緒に楽しめます。
普段ドライジンを飲んでいる方も、ぜひ一度オールドトムジンを試してみてください。
やさしく奥深いジンの世界を感じることでしょう。









